第1回授業用資料

2015年09月16日 06:30

以下は、第1回目の授業用資料になります。必ず目を通しておいてください。

1)「固有の意味の憲法」とは、国家のあり方や政治のやり方の基本的ルールを表明している。従って、いかなる時代のいかなる国家においても存在している。この憲法は、形式的にも内容的にも、一定の枠組みが存在しない。「憲法」という言葉の中で最広義のものであり、必ずしも「憲法」という名称の成文憲法として存在するのみならず、不文憲法として存在する場合もある。

2)「立憲的意味の憲法」とは、かつてヨーロッパにおいて政治権力を掌握し、国民を抑圧していた絶対君主(国王)に対する市民階級の闘争を通じて生まれた、①一方的・専断的な国家の権力に制限を加え、②広く国民の権利と自由の保障を原理とする内容の基本法を指す。このような憲法を学問的には、「立憲的意味の憲法」と称する。

 つまり、近代憲法は、政府・議会・裁判所といった国家権力の仕組みやその権限に法的根拠を与えると同時に、その権力に制約を加えることを内容とした。こうして国家権力が憲法の制約を受けると同時に、国家の政治が憲法に基づいて行われる政治上の原則を「立憲主義」あるいは「立憲政治の原則」と言う。

3)近代憲法の基本原則について

①基本的人権の保障

絶対君主の専制政治に反抗し、自由と平等を目指して闘った市民階級にとっては、市民の基本的人権の保障こそが最大の目標であった。基本的人権とは、人間が生まれながらにして享有する「天賦の権利」(自然権)である。こうした思想に立脚して、基本的人権を保障するためには、国家の権力を制限し、個人の基本的人権に対して権力の介入を禁止する「国家からの自由」を確立することが不可欠であった。

②国民主権の原理

絶対君主による専断的な政治に制約を加えつつ、国民の権利や自由の保障を確立するために、君主主権を否定し、国民が主権者として政治に参加することが最も有効な方法であると考えられた。モンテスキューによれば、「そもそも権力者は自分たちのために権力を濫用しがちである」とされる。

③権力分立の制度

フランス人権宣言第16条では、「権利の保障が確保されず、権力の分立が定められていない社会は、憲法をもつものではない」と明言された。②の国民主権が確立されても、政治権力が専制化することなく、国民の基本的人権を侵害しないようにするためには、過度の権力集中を防ぐための制度として「三権分立」が必要である。

4)憲法規範の特質について

①憲法=自由の基礎法

憲法はその出自から個人の自由と権利を保障する基礎法である。国民の人権保障が憲法制定の最大の目的である。

②憲法=制限規範

個人の生活に国家権力が介入しないように、権力を法的に制限し、枠組みを与える。憲法によって国家権力に歯止めをかけて、権力の濫用を制限する。憲法は、国民を規制する一般の法律とは区別され、法律を作る側の国家権力を規制しようとする特質を有する。

③憲法=最高法規

憲法は、法律、政令、規則、条例といった国法秩序において、頂点に位置し、最も強い効力をもつ最高法規である。従って、もし憲法の内容に矛盾する法律がある場合、当該法律は無効となる。

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