第4回授業用資料
2015年10月13日 02:08
以下は、第4回目の授業用資料になります。必ず目を通しておいてください。
日本国憲法上の天皇の地位
憲法第1条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
憲法第2条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
天皇の人間宣言
官報号外(昭和21年1月1日)詔書「人間宣言」
然レドモ朕ハ爾等国民ト共ニ在リ、常ニ利害ヲ同ジウシ休戚ヲ分タント欲ス。朕ト爾等国民トノ間ノ紐帯ハ、終始相互ノ信頼ト敬愛トニ依リテ結バレ、単ナル神話ト伝説トニ依リテ生ゼルモノニ非ズ。天皇ヲ以テ現御神トシ、且日本国民ヲ以テ他ノ民族ニ優越セル民族ニシテ、延テ世界ヲ支配スベキ運命ヲ有ストノ架空ナル観念ニ基クモノニモ非ズ。(現御神=アキツミカミ)
朕ノ政府ハ国民ノ試煉ト苦難トヲ緩和センガ為、アラユル施策ト経営トニ万全ノ方途ヲ講ズベシ。同時ニ朕ハ我国民ガ時艱ニ蹶起シ、当面ノ困苦克服ノ為ニ又産業及文運振興ノ為ニ勇往センコトヲ希念ス。我国民ガ其ノ公民生活ニ於テ団結シ、相倚リ相扶ケ、寛容相許スノ気風ヲ作興スルニ於テハ、能ク我至高ノ伝統ニ恥ヂザル真価ヲ発揮スルニ至ラン。斯ノ如キハ実ニ我国民ガ人類ノ福祉ト向上トノ為、絶大ナル貢献ヲ為ス所以ナルヲ疑ハザルナリ。
一年ノ計ハ年頭ニ在リ、朕ハ朕ノ信頼スル国民ガ朕ト其ノ心ヲ一ニシテ、自ラ奮ヒ自ラ励マシ、以テ此ノ大業ヲ成就センコトヲ庶幾フ。
日本国憲法第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
憲法第3条 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。
憲法第4条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。 2 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。
憲法第5条 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第一項の規定を準用する。
憲法第6条 天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
2 天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。
憲法第7条 国事に関する行為について。
1憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
2国会を召集すること。
3衆議院を解散すること。
4国会議員の総選挙の施行を公示すること。
5国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
6大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
7栄典を授与すること。
8批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
9外国の大使及び公使を接受すること。
10儀式を行ふこと。
天皇の国事行為
1)儀礼的行為
(ア)外国の大使及び公使の接受 第7条第9号
「接受」とは、外交使節に接見する儀礼的な行為を意味する。次頁も参照せよ。
(イ)儀式の挙行 第7条第10号
「儀式」とは、国家機関として天皇が主宰する国家的儀式を指し、皇室内の私的な儀式を含まない。天皇が主宰する「即位の礼」、「立太子の礼」などが該当する。政教分離の建前から、宗教的なものではない。
2)形式的行為
(ア)憲法改正、法律、政令及び条約の公布 第7条第1号
施行の前提として、法令の内容を国民一般が知り得る状態にしなければならない。
この行為を「公布」と称する。わが国では、国法への尊敬の念を高めるために、天皇が公布を行なう。
(イ)国会の召集 第7条第2号
国会の会期は、その「召集」に基づく集会があって開始する。
(ウ)衆議院の解散 第7条第3号
衆議院議員の地位をその任期満了前に喪失させる行為を「解散」という。
(エ)国会議員の総選挙の施行の公示 第7条第4号
「総選挙」とは、衆議院議員の総選挙と参議院議員の通常選挙を合わせて称する。なお、これらの選挙の期日と公示の時期については、公職選挙法で規定されている。
(オ)内閣総理大臣及び最高裁判所長官の任命 第6条
内閣総理大臣は、国会の指名に基づき、最高裁判所長官は、内閣の指名に基づき、天皇が任命する。天皇に指名の決定権があるのではない。
3)認証行為
(ア)国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使・公使の信任状の認証 第7条第5号
「その他の官吏」とは、最高裁判所裁判官、検事総長、人事官、特命全権大使等を指し彼らを「認証官」と呼ぶ。内閣をはじめ他の国家機関が実質的に決定したことを事後的に天皇が表明するのみである。
(イ)大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権の認証 第7条第6号
これらは「恩赦」と総称される。恩赦とは、訴訟手続きによることなく、刑の効果の全部または一部を消滅させる行為である。これは行政権による司法権の効果の修正であり、権力分立の原則に反する。しかし、古くから諸外国で認められている制度である。詳細は恩赦法(昭和22年3月28日法律第20号)に従う。
(ウ)批准書及び法律の定めるその他の外交文書の認証 第7条第8号
「認証」とは、既に他の国家機関の正当な手続きによって有効に成立している行為を公に確認し、証明することである。これらの行為に権威を与えるために、天皇の国事行為となっている。